8月2日 読本 メモ
「いま、たくましさはわかっても、人の心のかなしみがわかる青年がどれだけあるだろうか。
人の心を知らなければ、物事をやる場合、緻密さがなく粗雑になる。粗雑というのは対象をちっとも見ないで観念的にものをいってるだけということ、つまり対象への細かい心くばりがないということだから、緻密さが欠けるのはいっさいのものが欠けることにほかならない。」
岡潔「春宵十話」より抜粋
この岡潔という人は数学者ですが、彼曰く学問とは能力とか小手先でできるものじゃなく、「情緒」の中心が大事になってくる、ということらしい。それは、単に情操教育が大切だとかいったことではなく、きょうの情緒が明日の頭をつくるということ。情緒の中心が実在するということを教育の場で「教える」というパラドクスを超えたところに光明が見え隠れする気がしてならない。